このリーディングは生き方を変える 〜Life Shit を読んでみよう
「わたし、この本に書いてあることはすでに実践しているわ。途中までだけど読んで見て、そのことが正しかったと思えたの。」
とあるリーディングセミナーでカラービジネスコンサルタントが仕事という女性Tさんは、自己紹介でそう言った。なんとも自信に満ちた態度で、圧倒されそうだ。
LIFE SHIT を読む
今回のセミナーで取り上げた本は、
「LIFE SHIFT-100年時代の人生戦略-」
(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著 池村千秋訳
/東洋経済新報社)
400ページにおよぶ専門書だ。
本を読むのは好きだが、遅読の私には、こうした本は苦手である。大概途中で嫌になって放り出すか、とてつもない時間をかけて読むので途中で内容を忘れてしまう。この本一冊読む時間があれば、池井戸潤の作品なら5冊は読めたのに、と後悔することになる。
それでも読んでみようと思ったのは、あちこちの書店に平積みされていて新聞の書評にも度々取り上げられたのを知っていたからだ。もう一つの理由は、来年60歳を迎えることで、第2の人生を意識し始めた、これから残された人生をどう生きたらよいか、などと珍しくまじめに考え始めてきたからだ。
そんな時、フェイスブックでこの本を取り上げたリーディングセミナーのイベント告知が流れてきた。
とあるリーディングセミナー
京町家の8畳ほどの和室に集まってきたのは、6人。キャリアカウンセラー、研修講師、カラービジネスコンサルタント、起業家、私、それにセミナーファシリテーター。テーブルの上には京銘菓や飴が置かれ、リラックスした雰囲気だ。女性が多かったこともあってワイワイと雑談から始まった、ゆるい感じ。
「まず本をざっと見て、目次や中の見出しを見て、中身に入り込むと時間がかかりますかね。ざっとでいいですよ」
えっ、本を読まないの? 眺めるだけ? それで大丈夫なの? とたくさんの疑問符が湧いてきた。このリーディング法は初めてという人ばかりだったので、皆ちょっと不思議そうな顔をしていたが、とにかくやってみた。分厚い本を開き、ペラペラしたり、覗き込んだり。
著者に質問を出す
「そして、この著者に質問を出しましょう。カード1枚に1問、3つの質問を考えてください」
「人生に戦略なんているんですか?」
これがキャリアカウンセラー・Iさんから著者への質問だった。
みんなの質問を紹介しあった後で、各自、その質問の答えとなるキィワードを本の中から探す。この時間がこのセミナーの中ではもっとも長い時間だったが、それでも30分もしない。しかし、皆集中して答え探しをしている。
「長生きするってことは、それだけお金も必要ですね、当たり前だけど。収入のことも考えなくては。なんとなく生きている訳に行かないですね。だから積極的な戦略が必要なんだと気づきました」とIさん。
「リ・クリエーション」という言葉
「人生100年時代というが、85歳まで働くとして、そこまで健康が維持できるのだろうか?」 これは私の問い。
このテーマで本をあちこち開いてみると、次のようなキィワードが出てきた。
健康である期間は長くなる
健康改善のイノベーションが起こる
バランスのとれた生活
脳は鍛えられる
そしてあちこちに出てくる次の言葉も関連するキィワードだと思う。
レクレーションではなく、リ・クリエーション(自己再生)
自己再生の友人関係
うーむ、「リ・クリエーション」か。なんだか心地よい言葉だ。
「この本に書かれていることを実践しています。男女の役割チェンジのことが書かれているけれど、わたしはすでに準備しているんです。夫には定年後は好きなことをしてもらう。これまで働きづめでしたいことができなかったのだから。わたしが稼ぐ、というつもりで準備してきて、起業しました。今、わたしは働くことが楽しくて仕方がない。LIFE SHIFT してますよ〜!」
Tさんは相変わらず明るく元気な感想を述べた。聞いていたみんなも元気をもらった。
雑談さえも学びの場に
セミナー後の雑談時間、ワイワイと和やかにいろんなお話をした。
実はこの雑談の時間もこのリーディングセミナーの貴重な要素なのだそうだ。一つの本をみんなで読んで、出されたキィワードや意見の違いを知ることによって、本の理解がさらに深まる。その読後感を持ってさらに雑談する中で、互いに持っている想いやリソースの交流をすることで満足感が高まるのだ。
「それでは、最後に今日のリーディングを受けて、明日から何を始めるのか、お一人ずつ発表してください」
手応えを感じたのか、ファシリテーターの表情も明るい。
私は、この本を最後まで読み通すこと、これからも自分への教育投資を継続すること、そして本を読む前に「問い」を立てることを決意表明した。
人生100年時代はもう始まっている
本当に密度の濃い3時間半で、「余生」への考えが前向きになった。
人生100年時代、この本から得た知識と今日の経験を我が身に生かそう、楽しもうと思った。そうなると、これからますます忙しい。ボケているヒマなんてなさそうだ。
本は対話するように読むのが良い。できればリーディング仲間とともに。
このリーディングは、人生を変えるかもしれない。
リンク
●リード・フォー・アクション
●LIFE SHIFT
https://store.toyokeizai.net/books/9784492533871/
仕事のムダをなくす 改革の目のつけどころ
「年末年始はゆっくり休んで
仕事のモチベーション向上を図る」
飲食、小売業界で正月休業の動きが広がる中、大和ハウス工業が11月下旬、2018年の正月三が日の住宅展示場および分譲住宅での営業を取りやめ、一斉休業することを発表した。 (2014.12.4. niftyニュース)
広がる営業・サービス見直しの動き
前回の記事「行き過ぎたサービスは、働き方改革のブレーキになる?!」でファミリーレストラン「ロイヤル」やコンビニエンスストアの営業日・営業時間の見直しが始まっていると紹介しました。ダイワハウス工業の正月三が日休業は、こうした動きの一つで、ソフトバンクなどサービス業にも広がっています。
働き方改革を進めて、厳しい採用情勢の下で大学生などの求職者に「働きやすい職場ですよ」とアピールする狙いもあるでしょう。しかし、実際に需要の少ない日、時間の休業は、経営の効率化にもなり、休むことで従業員の休息、モチベーションアップにつながることは間違いないでしょう。
商品やサービスを見直す 本当にそこまで必要なの?
みなさんは、自社や他社の商品・サービスで「ここまでしないといけないのか?」と疑問に思ったことはないでしょうか。
ヤマト運輸が引き受け荷物の削減に取り組み、職員の昼食時間の確保や長時間労働をなくすため配達時間帯を見直したのはつい最近の話です。私もネットショッピングなどでヤマトさんにはお世話になっていますが、時間枠の変更でなにか不都合があったかというと、何もありませんでした。むしろこちらもその時間は安心してランチがとれるようになりました。(笑)
ビジネスホテルなどでトイレットペーパーの「最後まで使い切ることのご理解のお願い」と言った表示は、今では当たり前になりました。以前は、ロールの厚さが半分くらいになったら新しいものと取り替えていました。労力もコストもムダになっていたものを見直し、顧客に理解・協力を求めました。中には不満を持ったからもあるかもしれませんが、多くの宿泊客に違和感はなかったのではないでしょうか。
競合関係もあるので、サービスの見直しにはバランスは必要ですが、顧客の理解や協力が得られないかを吟味し、可能な部分は思い切って変更します。
会議・意思決定〜そもそも必要な会議か?
「約30,000時間・・・あなたが一生涯で会議に費やす時間だ。
この途方も無い時間、想像してみたことはあるだろうか?1日10時間活動できるとして、365日休みなく働いたら約8年分になる。大事なことなのでもう一度言う、"貴重な人生の時間を、8年分も会議に捧げる"ことになる。」
「世界でいちばんやさしい会議の教科書」(日経BP社2015年)の著者・榊巻亮さんは、自身のブログの中でこう指摘し、改革を呼びかけています。
あなたの会は、会議に年間で何時間を使っていますか?
会議や意思決定について見直し、大胆に改革しましょう。
1、意思決定のルールを作る
・経費の決済や企画、プロジェクトの実施、商品開発、取引先の決定など分野ごと、
段階ごとに決済基準を決める。
・基準を明確に、手続きを簡素化しする。
・ルール決定の際に、仕事の分担と合わせて権限委譲が進みやすいように工夫する。
2、会議を変える
・まず「その会議は本当に必要なのか?」と一つ一つ見直す
会議ごとの目的をはっきりさせて、必要がない場合は廃止してみましょう。
・必要な会議の運営を見直す。
前出の榊巻さんは「7つの基本動作」として下記を提唱しています。
①決まったこと、やるべきことを確認する
②会議の終了条件を確認する
③時間配分を確認する
④主張を引き出す
⑤対話を促す
⑥議論を可視化する
⑦4つのPを押さえて会議をシミュレーションする
時間、議題、出席対象者は適切か? 提出する資料の量と質や完成度は行き過ぎていないか? 最近では、「会議は立ってする」「資料はA4で1枚に限る」「出席者を絞る」と言った改革を断行して成果を挙げている企業がどんどん出てきています。社内会議資料の完成度を高める時間があれば、お客様への提案資料の充実に時間を割いた方が効率的ですよね。
3、コミュニケーションの仕方を変える
浮いた会議の時間を有効に使って、上司・マネージャーは部下とのコミュニケーションを充実させていきましょう。「報・連・相」が重要と言いますが、必要以上に細かく報告させたり、相談に来ないと怒っているのも時間の無駄です。部下の仕事の状況をみながら、上司からタイミングよく声をかけていけば効率的なコミュニケーションが取れると思います。こうした関係づくりは、ハラスメントやメンタルヘルス不全の防止にもつながっていきます。
仕事の進め方・作業を改革する
前回ご紹介した同志社大学・太田肇さんの「ムダな仕事の多い職場」の中では、ホワイトカラー職場の「カイゼン」は形式化して返ってムダのもとになっていると指摘しています。ムダをなくし生産性を上げるためには、改善ではなく改革が必要だと主張しています。
AIやIoT(全てがネットにつながる技術)を活用した大胆な作業改革、組織のありかた、マネジメント手法の改革も必要でしょう。
GUや一部のスーパーではセルフレジが導入され、広がりを見せています。私もGUセルフレジを利用したましたが、商品を所定の台に置くだけで計算ができ精算終了、大変便利です。セルフレジへの誘導と操作説明をする一人の職員が4〜5台のレジを担当していました。ファーストリティリングはこの方式をユニクロにも広げていく方針です。またフレスコなど一部スーパーでは、精算部分だけが無人化されています。1台の有人レジに3台の精算機がついていますので、レジ通過スピードが早くなっています。感覚ですが、これまでの1.5倍くらいのスピードではないでしょうか? 自動精算機なので、閉店後の精算作業も効率化され、誤差も出ません。こうした最新技術を駆使した効率化は加速度的に進むでしょう。
こうした最新技術の導入だけでなく、作業一つ一つを見直し、だれでも理解できるマニュアルに整備する、といった基本的なこともムダを省く近道です。
さあ、あなたの会社・職場を見直してみましょう。
行き過ぎたサービスは、働き方改革のブレーキになる?!
「つくばエクスプレス(TX)を運行する会社が、電車を定刻より20秒早く出発させたとして謝った。 海外メディアは『遅れでも運休でもないのに……』と驚く。『20秒』の差は謝るべきなのか。」
過剰に謝る企業文化
2017年11月21日の朝日新聞「ニュースQ3」の記事です。11月のある日、TXでは南流山駅発の普通列車が定刻9時44分40秒のところ、9時44分20秒に発車してしまったそうです。この会社に限らず、乗客には発車時刻については「分」までしか知らされていません。それなのになぜ? このことが英語のネットニュースで流れ、海外で話題になっているという。朝日は同じ記事で、「ニューヨークの地下鉄なら謝罪のためだけに職員が必要だ」とtwitterで話題なり、更に英ガーディアン紙でも取り上げられたと紹介しています。また、九州工業大学・佐藤直樹名誉教授のコメントを交えて、日本の「過剰に謝る企業文化」について問題提起をしています。
みなさんどう思われますか?
悪質クレームに泣く現場
同じ日の朝日「天声人語」では、労組UAゼンセンが行った流通や小売で働く労組員からのアンケートを紹介、客からの悪質なクレームとその対応をめぐって深刻な現実が報告されています。「お前はバカか」「死ね、やめろ」といった暴言や、3時間に及ぶ説教、そして土下座を求める行為などです。これに対して従業員は、「謝り続けた」「何もできなかった」と答えた人が4割を超えたそうです。天声人語は、「そのうちカスタマー(顧客)ハラスメントやコンシューマー(消費者)ハラスメントも定着するかもしれぬ。」と警鐘を鳴らしています。おもてなしの国、世界一のサービスの日本だが、「最高のサービスの裏に最低の客が隠れているのではないか」(石田衣良)と疑問を投げかけています。
過剰サービスは改革の障害に
さて、こうした行き過ぎたサービスや謝罪が、働き方改革の障害になっているとの指摘があります。そう主張しているのは同志社大学政策学部教授・太田肇さんです。実は先日(朝日の記事の前の日)、太田さんの講演を聴く機会があり、TXの対応のことも紹介されていました。
「仕事をいかに効率化するかー『働き方改革』成功の条件—」と題する太田さんの講演要旨は次のようなものです。
(講演資料から)
・働き方改革の本丸は長時間労働の是正、カギは生産性の向上
・成功の条件とは〜社員のモチベーションアップ/仕事の効率化(ムダの排除)
・日本の労働時間は減少している?〜正規社員限定すると先進国中突出して長い。
年休消化率も海外の70%以上と比べて、日本48%と低い
・日本の生産性は、OECD加盟国18位と低迷
・日本の職場に多いムダ〜過剰なサービス/無意味な「完璧主義」/カイゼン型アプローチの限界
・とくにオフィスにムダが多い〜事務系の生産性が低い/非効率な会議と複雑な意思決定/分厚い管理職 層と進まない権限委譲/マイクロマネジメント
・効率化のカギは?〜競争圧力、労働市場の圧力の不足/積極的な「外圧」の活用/中小企業の実践をモ デルに
この内容は、10月に出版された「ムダな仕事が多い職場」(ちくま新書)に詳しいので、参照してください。「なるほどそうだ!」と思える点が随所に書かれていて、大変参考になります。
始まった、企業の取り組み
企業の生産性改善の取り組みも進み始めました。長引く深刻な人手不足もあって加速しています。
11月28日付日本経済新聞はシリーズ「危機を好機に−生産性考—」の中で、「週3日休む旅館 非製造業こそチャンス」として神奈川県の老舗旅館の取り組みを紹介しています。旅館ホテルは無休が当然、と思われがちですが、鶴巻温泉の「陣屋」はあえて週3日休業し、職員研修や休日に当て、サービスの質を上げることで売り上げを伸ばし、従業員の賃金も大幅にアップさせたそうです。
報道によれば福岡市に本社を置くファミリーレストランチェーンのロイヤルは、元旦を始め年間3日間のいっせい閉店日を設定すると発表し、既存店の95%は同じ日に閉店することになりました。コンビニエンスストアやスーパーでも365日24日営業を見直す動きが出ています。
長時間労働をなくす仕組みと意識改革と合わせて、生産性を上げる(仕事のムダをなくす)取り組みが「真の働き方改革」の推進力となります。
では、どのように取り組めば良いでしょうか?
次回、この点を考えていきます。
働き方改革 政府、「残業税」の導入を決める?!
「サービス残業は脱税になります」
労働基準法では、一日8時間または1週間40時間を法定労働時間と定めており、これを超える労働については割増賃金を払わなければならない。この割増された賃金の2割が、時間外労働勢として、労使折半で国に納められる。
えっ! 割増賃金から税金を払うの? 会社だけでなく労働者も!
ご安心ください。小説「残業税」(小前亮著、光文社文庫)の一節です。作品では、残業税を払わないために様々な違法な残業隠しや虚偽申告をする企業に対して、実態を暴き税の徴収をするため国税庁に「時間外労働税調査官」、通称「マルザ」が設置される。マルザは、各地の労働基準監督官と組んで、悪質企業の巧妙な残業隠しを暴いていく。多くはブラック企業であるが、税金を払う余裕のない零細な企業の場合もあり、関係者からは反発を受けることもある。様々な妨害や挫折を乗り越え、法の正義のために今日も戦っていく・・・。そんなお話です。
この物語の中で「残業税が導入されて世の中のあり方が大きく変わった」とされています。こうした税金制度でも入れないと、企業は本気にならないのではないか、というメッセージなのかもしれません。
現実の日本では、働き方改革の具体案として「時間外労働の上限規制」や「年次有給休暇の取得義務付け」などの規制と、労働時間に拘束されない働き方として「高度プロフェッショナル制度」を認める労働基準法の改正案が準備されていました。本来は9月下旬に召集された臨時国会で審議されるはずでしたが、ご存知のように解散総選挙があったため廃案となりました。
選挙の結果、解散前とほぼ同じ与党体制となったので、改めて同様の法案が審議されることになります。国会は年内は実質審議をしない、という観測もありますので、年明けからの審議スタートとなります。この法改正は当初2019年4月施行を予定していましたが、ずれ込む可能性もあります。こうした労働政策においては、日本は先進国の中でも特に遅れていますが、さらに遅れていきそうです。法改正をまたず、民間での実のある働き方改革が求められている、とも言えそうです。
他の国の政策はどうか? ドイツの取り組みを紹介している記事がありました。
ドイツでは、「1日10時間以上働いてはいけない」という法律があり、違反すると企業は罰金を課せられる、しかもそのほとんどは「働かせた上司」が負担しているということです。これではたまりませんから、上司(管理職)はこまめに部下の労働時間を把握して、残業しないように指導したり役割分担を調整したりするということです。おそらくこの段階に来るためには相当の年数がかかったものと思いますが、行政、企業、管理職、そして労働者が同じ目標を掲げて取り組んだから実現できたものと思います。
ちなみにドイツの労働生産性は、日本を約50%も上回っており、好景気が続いています。
日本もこうした事例を参考にしながら法制度の整備を進めてほしいものです。また、長時間労働の解消と生産性の向上を両立させるための企業と従業員の努力・工夫、仕組みづくりも不可欠です。現状を分析し、課題を明確にし改革の方向性と対策を打ち立てて取り組んで行くことが企業とその現場に求められています。
働き方改革を考える 書籍紹介「御社の働き方改革、ここが間違ってます!」
突然の衆議院解散劇によって、臨時国会に提案予定だった労働関連法案は宙に浮いてしまった……。同法案の審議開始は、早くても年明けではないかと言われています。法案には「残業時間の上限規制」と「高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)」など重要な変更案が含まれています。前者は、政府の働き方改革実現会議での議論を踏まえ政労使が合意したもので、それまで青天井だった日本の労働間に制約を設けるものです。後者は、一定の年収を超える特定の労働者に対して、労働時間に応じた給与や残業代を支給しない労働制度です。推進したい経営者団体と労働団体で意見が分かれていて、今回の国会審議の大きな争点になるはずでした。はてさて、この審議・法制化はどうなっていくのでしょう。とは言っても、政府が進めようとしている働き方改革の基本的な方向が変わってしまうということではないようです。進め方は工程表の変更は出てくるでしょう。
ここで、改めて「働き方改革」とは何かを考えてみましょう。言葉だけが先行し、間違った改革が進んでいるのではないか?改革が進み始めたけれど、現場の人には不満がたまってきている! そうした状況に警鐘を鳴らし、正しい働き方改革を進めていこうと呼びかけているのが、「御社の働き方改革、ここが間違ってます!」(白川桃子/PHP新書)です。著者は、相模女子大客員教授・ジャーナリストで政府の改革実現会議の委員として議論に参加しています。残業時間の上限設定を決めた経過について、舞台裏のやりとりも紹介されていて、なかなか興味深いです。
政府の「働き方改革実現会議」は今年3月に報告書を発表し、たくさんのテーマで改革が進めようとしています。もっとも大きなテーマになっているのは、同一賃金同一労働の原則に基づく格差の是正、長時間労働・過重労働をなくすこと、男女共同参画・多様性を認める経営(ダイバーシティ経営)の確立です。この改革の実現には、これまでの考え方・価値観の大転換が必要です。働く人の意識改革も必要ですが、それ以上に経営者の改革が求められています。私は、「働き方改革は経営改革である」と思います。
ところが企業で始まった改革には「早く帰れ!電気消すぞ!」と表面的な”改革”だけを進めようとしているところもあると著者は指摘します。そのことによって仕事の持ち帰りやサービス残業が増えるなど、現場に不満が溜まっていく事態になっていませんか、と問います。働き方改革は、企業にとっては「会社の魅力化プロジェクト」であり、企業の課題(労働力不足、生産性向上など)と社会的な課題(少子化、女性活躍など)が共に解決していく道だと解いています。そういう意味では、企業だけでなく社会を変えていく大運動、ということが言えますね。
本書では、働き方改革を成功させるためにどうしたらよいのか、という視点で、次のような諸点を提起しています。長時間労働対策で実績をあげた企業の事例紹介もあり、わかりやすく参考になる情報もたくさん載っています。「働き方改革のポイント・全体像を掴みたい」という方、ぜひご一読を。
<本書の構成>
序、働き方改革の何が問題なのか
経営戦略としての働き方改革、「時間」という資源が起こすイノベーション
1、働き方改革はどうすれば成功するのか
三つのショック、働き方改革を担うのは誰か、生産について、長時間労働是正
2、先端事例に「働き方改革」の実際を学ぶ
大和証券、アクセンチュア、サイボウズ、リクルート、カルビー、かんぽ生命
ダイバーシティ西日本勉強会、中小企業でも
3、現場から働き方をこう変える!
テレワーク、未来の働き方トライアル、見え化の効果、イクボス宣言、残業上限
4、なぜ「実力主義」の職場はこれから破綻するのか
霞が関の官僚たちが改革に立ち上がった、大手マスコミは変えられるか?
5、「女性に優しい働き方」は失敗する運命にある
資生堂ショックとは何だった、働き方改革で家庭はこう変わる、女性リーダー育成
6、社会課題としての長時間労働
父親の育児参加で国の競争力が上がる、改革は地方消滅への特効薬
7、実録・残業上限の衝撃
「働き方改革実現会議」で目にした上限規制までの道のり
以上
ごあいさつ 「オフィス赤木」を開設しました
ごあいさつが大変遅くなってしまいまいした。もう10月に入ったのですが、さる9月1日に、独立開業し、社会保険労務士・キャリアコンサルタントとして「オフィス赤木」を開設し、事業をスタートいたしました。オフィスのメインテーマは”ジョブサポート”です。たった一人の自営業ですが、自分が実現したいことをめざして、じっくりと進んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。以下に、改めてごあいさつ文を掲載させていただきます。
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ごあいさつ
ジョブサポート オフィス赤木
代表 赤木 一成
私は、永年大学生活協同組合に勤務し、様々な職種・業務を経験してまいりました。退職するまでの10年間は人事教育部門を統括する立場で、人事・教育制度づくりとその運用、および各種研修の企画・講師を担当しました。若い職員の方が、年々めざましく成長し事業を担う中核に育っていく姿に大いに励まされました。入社早々の時期に退職していく若者が多いなか、採用方式の改善やメンタリング制度の導入を進め、離職率を大きく減少させることができたのも、私に取っても貴重な体験でした。また、大学生の学びと成長を支援する事業に関わり、学生の方が様々な体験を通して大きく成長される姿を目の当たりにして、たくさんのことを学ばせていただきました。
企業にとって、人材はすべての源であると、確信しています。
そうした仕事を通して自ら学習・研鑽することの必要性を感じ、コーチングの学習を始めたのをきっかけに、キャリア・ディベロップメント・アドバイザー(CDA/2005年)、セクシャルハラスメント・パワーハラスメント防止コンサルタント(21世紀職業財団/2011年)、社会保険労務士試験合格(2011年)、産業カウンセラー(2013年)などの資格を取得しました。
定年前に、「せっかく取得した資格やスキルを活かし、もっと広く世の中に貢献できないものか」と考え、思い切って退職・独立開業を決意しました。
私は、社長さんと社員さんがビジョン・目標を共有して、業績をあげ、会社の経営目標が実現できるような労働環境・制度づくりのお手伝いをしたいと思います。社長さんと社員さんがWinWinの関係を築き、「この会社で良かった」と自信と誇りを持てる企業に発展されることに関われたら、私自信の栄誉です。ひいては買い手や社会にとってプラスになるような「四方よし」につながれば良いなあと考える次第です。
皆様の企業活動に、少しでもお役に立つことがありましたら、何なりとお申し付けください。どうぞよろしくお願い致します。
(2017年9月)
<オフィス概要>
事務所
〒605-0042
連絡先
電話・FAX 075-286-7487 携帯電話 090-8395-6405
e-mail k.akagi@jobsupport.jp
コンセプト
☑労使ともに安心して仕事ができ、成果を上げる。「この会社で良かった」と
言える労働環境づくりをサポートします。
☑社員と社長のビジョン・目標を共有し、WinWinの関係づくりをサポートし、
社内に「元気」と「安心」を創造します。
主な業務内容
☑労働保険、社会保険の法定書類の作成、届出の代行
☑就業規則の設定・変更、諸規定類についての相談、作成、届出に関する業務
☑人事教育制度づくりのコンサルティング、制度提案、運営サポート
☑メンタルヘルスケア、ハラスメント防止の組織体制づくりサポート研修実施
☑キャリアコンサルティング、大学生・若者の成長支援プログラムの企画・運営
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働き方改革を考える 書籍紹介「死ぬくらいなら会社辞めれば、ができない理由」
いつもの駅のプラットホーム。あなたは、滑り込んでくる電車に吸い込まれたいと思ったことはありませんか?私は、あります。ハッと気がついて、後ずさりしました。当時、仕事のことではなかったけれどトラブルを抱え、悩んでいました。睡眠も不規則でした・・・。
積極的に?自死しようとしたわけでないが、いつの間にか追い込まれてしまい、自死を選んでしまう。そんなことが、過重労働や激しいパワハラの職場で起こっています。周りから見れば「そうなる前に、そんな会社辞めてしまえ!」と言いたくなることもあるでしょう。しかし、追い詰められている最中には自分が追い詰められていることにも気づかない、”自分が悪い、不甲斐ない”と自分を責めていることが多いのです。だから「こんな会社辞めてやる!」という考えに至らない。
そんな追い詰められている人の心理状態をわかりやすく解説してくれるのが
「死ぬくらいなら会社辞めれば、ができない理由(わけ)」
(ゆうきゆう監修・執筆協力、汐街コナ著/あさ出版)です。
漫画と解説で構成されているこの本は、著者の体験(過労自殺しかけた)をベースに、その時の仕事と心の状況、どう対応すれば良いかといった助言を掲載しています。監修のゆうきゆうさんは精神科医で自らも漫画を描き、メールマガジンやTwitterでも多くの読者を持っています。コナさんの体験について、精神科医として解説・助言しています。
真面目な人ほど、過酷な仕事でも真剣に取り組もうとする。困難にぶつかると自分を責めてしまう。「頑張らなくちゃ!」と自分に追い討ちをかける・・・。いつしか彼の視界は極端に狭くなってしまい、死ぬことが自分を解放してくれる唯一の方法に見えてしまう・・・。「その仕事、命より大事ですか?」と問うた時に、「命の方が大事だ。辞めても良い。」と判断できる段階で、ストップをかけることが大事だと言っています。こうした当人の心理状況について、知っておくことは大事だと思います。
そして、それはあなた自身に役にたつ情報となるかもしれません。
本書より
今、これを読んでいるあなたは「まだ大丈夫」です。
判断ができます。
この本は未来のあなたや、あなたの大切な人の
「まだ大丈夫」が
「もう、無理・・・」
にならないために書きました。
今、忙しくて本を読むヒマがないという人も、
「自分には関係ないな」と思って、
この本を閉じようとしている人も、
もし今後、
「ヤバイな」と思ったら、
これだけは忘れないでほしい。
世界は、本当は 広いんです
「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ) - 株式会社あさ出版 ビジネス書、ビジネスコミック、健康、語学書等を発行