仕事のムダをなくす 改革の目のつけどころ
「年末年始はゆっくり休んで
仕事のモチベーション向上を図る」
飲食、小売業界で正月休業の動きが広がる中、大和ハウス工業が11月下旬、2018年の正月三が日の住宅展示場および分譲住宅での営業を取りやめ、一斉休業することを発表した。 (2014.12.4. niftyニュース)
広がる営業・サービス見直しの動き
前回の記事「行き過ぎたサービスは、働き方改革のブレーキになる?!」でファミリーレストラン「ロイヤル」やコンビニエンスストアの営業日・営業時間の見直しが始まっていると紹介しました。ダイワハウス工業の正月三が日休業は、こうした動きの一つで、ソフトバンクなどサービス業にも広がっています。
働き方改革を進めて、厳しい採用情勢の下で大学生などの求職者に「働きやすい職場ですよ」とアピールする狙いもあるでしょう。しかし、実際に需要の少ない日、時間の休業は、経営の効率化にもなり、休むことで従業員の休息、モチベーションアップにつながることは間違いないでしょう。
商品やサービスを見直す 本当にそこまで必要なの?
みなさんは、自社や他社の商品・サービスで「ここまでしないといけないのか?」と疑問に思ったことはないでしょうか。
ヤマト運輸が引き受け荷物の削減に取り組み、職員の昼食時間の確保や長時間労働をなくすため配達時間帯を見直したのはつい最近の話です。私もネットショッピングなどでヤマトさんにはお世話になっていますが、時間枠の変更でなにか不都合があったかというと、何もありませんでした。むしろこちらもその時間は安心してランチがとれるようになりました。(笑)
ビジネスホテルなどでトイレットペーパーの「最後まで使い切ることのご理解のお願い」と言った表示は、今では当たり前になりました。以前は、ロールの厚さが半分くらいになったら新しいものと取り替えていました。労力もコストもムダになっていたものを見直し、顧客に理解・協力を求めました。中には不満を持ったからもあるかもしれませんが、多くの宿泊客に違和感はなかったのではないでしょうか。
競合関係もあるので、サービスの見直しにはバランスは必要ですが、顧客の理解や協力が得られないかを吟味し、可能な部分は思い切って変更します。
会議・意思決定〜そもそも必要な会議か?
「約30,000時間・・・あなたが一生涯で会議に費やす時間だ。
この途方も無い時間、想像してみたことはあるだろうか?1日10時間活動できるとして、365日休みなく働いたら約8年分になる。大事なことなのでもう一度言う、"貴重な人生の時間を、8年分も会議に捧げる"ことになる。」
「世界でいちばんやさしい会議の教科書」(日経BP社2015年)の著者・榊巻亮さんは、自身のブログの中でこう指摘し、改革を呼びかけています。
あなたの会は、会議に年間で何時間を使っていますか?
会議や意思決定について見直し、大胆に改革しましょう。
1、意思決定のルールを作る
・経費の決済や企画、プロジェクトの実施、商品開発、取引先の決定など分野ごと、
段階ごとに決済基準を決める。
・基準を明確に、手続きを簡素化しする。
・ルール決定の際に、仕事の分担と合わせて権限委譲が進みやすいように工夫する。
2、会議を変える
・まず「その会議は本当に必要なのか?」と一つ一つ見直す
会議ごとの目的をはっきりさせて、必要がない場合は廃止してみましょう。
・必要な会議の運営を見直す。
前出の榊巻さんは「7つの基本動作」として下記を提唱しています。
①決まったこと、やるべきことを確認する
②会議の終了条件を確認する
③時間配分を確認する
④主張を引き出す
⑤対話を促す
⑥議論を可視化する
⑦4つのPを押さえて会議をシミュレーションする
時間、議題、出席対象者は適切か? 提出する資料の量と質や完成度は行き過ぎていないか? 最近では、「会議は立ってする」「資料はA4で1枚に限る」「出席者を絞る」と言った改革を断行して成果を挙げている企業がどんどん出てきています。社内会議資料の完成度を高める時間があれば、お客様への提案資料の充実に時間を割いた方が効率的ですよね。
3、コミュニケーションの仕方を変える
浮いた会議の時間を有効に使って、上司・マネージャーは部下とのコミュニケーションを充実させていきましょう。「報・連・相」が重要と言いますが、必要以上に細かく報告させたり、相談に来ないと怒っているのも時間の無駄です。部下の仕事の状況をみながら、上司からタイミングよく声をかけていけば効率的なコミュニケーションが取れると思います。こうした関係づくりは、ハラスメントやメンタルヘルス不全の防止にもつながっていきます。
仕事の進め方・作業を改革する
前回ご紹介した同志社大学・太田肇さんの「ムダな仕事の多い職場」の中では、ホワイトカラー職場の「カイゼン」は形式化して返ってムダのもとになっていると指摘しています。ムダをなくし生産性を上げるためには、改善ではなく改革が必要だと主張しています。
AIやIoT(全てがネットにつながる技術)を活用した大胆な作業改革、組織のありかた、マネジメント手法の改革も必要でしょう。
GUや一部のスーパーではセルフレジが導入され、広がりを見せています。私もGUセルフレジを利用したましたが、商品を所定の台に置くだけで計算ができ精算終了、大変便利です。セルフレジへの誘導と操作説明をする一人の職員が4〜5台のレジを担当していました。ファーストリティリングはこの方式をユニクロにも広げていく方針です。またフレスコなど一部スーパーでは、精算部分だけが無人化されています。1台の有人レジに3台の精算機がついていますので、レジ通過スピードが早くなっています。感覚ですが、これまでの1.5倍くらいのスピードではないでしょうか? 自動精算機なので、閉店後の精算作業も効率化され、誤差も出ません。こうした最新技術を駆使した効率化は加速度的に進むでしょう。
こうした最新技術の導入だけでなく、作業一つ一つを見直し、だれでも理解できるマニュアルに整備する、といった基本的なこともムダを省く近道です。
さあ、あなたの会社・職場を見直してみましょう。