「四方よし」のお手伝い

社長さんと社員さんが共にWinWinの関係となる。近江商人の「三方よし」(売り手よし、買い手よし、世間よし)と重ね、「四方よし」の関係づくりのお手伝いをしたいと考えています。このブログが何かの参考になれば幸いです。なお、記事の法令等に関わる記述は、執筆当時に施行または施行予定だった内容で、その後の改正に対応してない場合がありますのでご了承ください。

「自分らしく働ける組織=ティール組織」が見えてきた

 

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ダイアローグ


「働く目的は、自分や家族が幸せになること、と言っていいんだな!」

私の頭の中にぐるぐると巡っていた考えを少し整理した時に浮かんだ言葉です。

 

それにしても濃厚な二日間でした。

1月19日〜20日に京都市宇多野ユースホステルで開催された「職場に活かす『ティール組織』〜変化の旅をはじめるための積読消化合宿〜」(Playing Facilitator Lab.の主催)に参加しました。ABD(アクティブ・ブック・ダイアローグ)という手法で分担して本を読み、参加者で共有しながら理解していくというもので、今回のテーマは「ティール組織」(英知出版2018)。ファシリテーターは「ティール組織」の解説者で場とつながりラボhome’s Viの代表理事の嘉村賢州さんで参加者は約10名でした。

 

2日間で読んだ本は、実に8冊!

ティール組織」(部分)

「イラスト解説・ティール組織」

「すいません、ほぼ日経営。」

「英雄の旅」(部分)

「『いい会社』のよきリーダーが大切にしている7つのこと」

「最高難関のリーダーシップ」(アウトライン)

トランジション・マネジメント」(アウトライン)

「ディープ・チェンジ」(アウトライン)

 

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ABDの候補になった本たち

 

合宿ということで時間はたくさんあったとはいうものの、この情報量はすごい! 脳の力を相当使いましたが、意外と爽快でした。

 

アクティブブックダイアローグの手順

①1冊の本を分担して(該当箇所を引き裂いて!)読み、その要約・ポイントとなるところをB5の紙で6枚に書き出す。

②壁に本の構成順に張り出して、担当した人が順番に発表する「プレゼンリレー」を行う。

③質疑応答したあと、ダイアローグで感じたことなどを共有していく。

 

この手法の良いところは、どんなに分厚い本でも分担して読み、共有することで本の内容を理解できること、ダイアローグを通して受け止め方の違いや自身で気づかなかった点に気づくことができるといった点です。何より「積ん読」状態を脱出できます。(笑)

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プレゼンリレー

今回参加してみて、ワークショップとしても優れていると感じました。一つのテーマで深く読んで、一堂に会して共有することでそのグループ・メンバーに共通認識ができます。もし同じ職場のメンバーで行ったら、仕事の改善など次のアクションにつながりやすいのではないでしょうか。

 

※アクティブ・ブック・ダイアローグの詳細は、下記を参照してください。

アクティブ・ブック・ダイアローグ協会

 

www.abd-abd.com

ティール組織」とは

ここのところあちこちで話題になっている「ティール組織」ですが、これはアメリカのコンサルタントだったフレデリック・ラルー氏が、相談にやってくる経営者もそこで働く従業員も“誰も幸せそうではない”ことに疑問をもち、世界中の成功している企業・団体を訪ねてインタビューし、その共通点を整理し提唱した新しい概念の組織論です。上下関係も打ち上げ目標も予算もないのに大きな成果を上げている組織が世界中に現れている!

ラルー氏は、著書で組織の歴史的変遷について類型化しその特徴を色で表しました。  赤=衝動型〜力による支配

 琥珀=順応型〜軍隊など階層的ピラミッドをもつ組織

 オレンジ=達成型〜上場企業や銀行など目標達成を軸にした組織

 緑=多元型〜大きな家族のような組織

 ティール(青緑)=進化型と表現しました。

 

3つのブレイクスルー

組織が進化しティール型になるときの突破口(組織的特徴)を3つ上げています。それぞれ広く深い意味がありますが、ここではポイントだけ紹介します。

・自主経営(セルフマネジメント)

    〜組織に役割はあるが役職はなく、チームをベースにした個々人がその使命を果たすために働きます。

・全体性(ホールネス)

   〜職場で「仕事用の仮面」をかぶることなく、自分らしく働ける、自身や他人との全体性の回復をもとめています。

・進化する存在目的

   〜メンバーにとって組織の存在目的を理解し自己の使命を認識することが大切です。その存在目的も社会の変化に応じて進化することが求められます。

 

ティール組織」については、こちらをご覧ください。

www.eijipress.co.jp

今回の学び

 合宿の最後に、壁に張り出された8冊の本の要約をあらためて見て、自分なりに何が学べたのかを考える時間がありました。その時のノートをもとにまとめてみます。

⬛️「ティール組織」/「イラスト解説・ティール組織」

  • オランダの地域看護組織「ビュートゾルフ」の実践はとても素晴らしい。目指す組織の例がある。世界や日本でもこれからどんどん出てくるだろう。
  • もっとも心に残ったのは「全体性(ホールネス)」、これは人間としての全体性を取り戻すこと。つまり、人間らしく働ける組織を目指していくことなのだ。
  • ティール組織は、「常に進化する目的」を持ち、更新し続ける。
  • 自主経営(セルフマネジメント)〜先行例の多くはチームによる経営が行われている。まずは人間。個人と組織が目的達成のため知恵と力を出しあっている。

⬛️「すいません、ほぼ日経営。」

  • この会社は、“自分が役立つ喜び”を得て「やりたいことの組み合わせ」で運営されている会社なのだ。
  • 仕事のスタンスは「誠実と貢献」。誠実かどうかは自分自身で測れる。
  • 安心して働けて、幸せを追求できる環境を作る、これが社長の役割。じぶんのリーダーはじぶんなのだから。

⬛️「『いい会社』のよきリーダーが大切にしている7つのこと」

  • 数字よりも人を大切に。仕事はスピードより順番。
  • 仕事に感情を忘れるな〜心理的安全性の確保

⬛️トランジション・マネジメント」

  •  ・変化は問題ではない。そのトランジションを乗り越えられるかどうかだ。
  •  ・3つの段階 <終わり>→<ニュートラルゾーン>→<新しい始まり>
  •  ・ニュートラルゾーンを創造の時期としてとらえ活かす。

⬛️まとめ

 人が働く目的=自身と家族の幸せ

 仕事の幸せ=顧客に対する誠実と貢献によって

 組織の変革〜進化する組織へ

     自主経営/人間らしさを取り戻す(ホールネス)/常に進化する目的

 Teal組織への道=目的ではないが、そこに到達できる

 変化への対応=トランジションを乗り越える

 

ティール組織」は600ページに及ぶ大著で、なかなかとっつきにくいものです。しかし、ABDによる勉強会やワークショップは各地で開催されていて、徐々にその考え方が広がっています。本文も事例紹介や各論の解説などは思わず引き込まれてしまうとこも少なからずあります。何より進化した組織の向こうに、労働における人間らしさの回復という姿を垣間見ることができたのが、私にとっては最大の成果でした。

……学習は継続していきます(^o^)

 

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