「四方よし」のお手伝い

社長さんと社員さんが共にWinWinの関係となる。近江商人の「三方よし」(売り手よし、買い手よし、世間よし)と重ね、「四方よし」の関係づくりのお手伝いをしたいと考えています。このブログが何かの参考になれば幸いです。なお、記事の法令等に関わる記述は、執筆当時に施行または施行予定だった内容で、その後の改正に対応してない場合がありますのでご了承ください。

新型コロナウイルスへの対応(3月31日)

新型コロナウイルスの猛威が止まりません。

状況は? 対策は? 職場・経営の維持には?

 

昨日(3月30日)で、世界の感染者は70万人を超えました。日本でも2700人を超え、うち70人が死亡しています。タレントの志村けんさんの死去報道は、これまで数字としてしか捉えられていなかった死者について、実在の人の死であることをつきつけ、新型コロナウイルス感染症の怖さを感じさせたのではないでしょうか。

専門家会議の状況分析と提言

政府の新型コロナ感染症対策専門家会議は、19日に会合を開き、当面の対応方針を決めました。そこに、現状の分析とオーバーシュートと言われる爆発的な感染拡大を防ぐための対策について、詳細に述べています。ぜひご一読ください。

自身が感染しないことも大事ですが、感染していても自覚症状が出ない人も多く”感染させない”ための行動・自粛も重要です。今は、3つの”蜜”〜密閉/密集/密接〜を避けることが大切です。

新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言(3月19日)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00093.html

 

雇用調整助成金などの特例を拡大

こうした状況の中で厚生労働省は、雇用調整助成金の特例として新型コロナウイルス感染症による事業縮小・休業等に対する助成金を支給することを決めましたが、その助成比率の拡大を決めました。働く人にとっても、事業者にとっても先の見えない不安な状況が続いているかと思いますが、こうした助成金も活用して雇用の継続につなげて欲しいものです。
<概要>

  • 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける全国の事業主が対象で、生産指標要件は、「1カ月5%以上低下」に緩和されます。
  • 業種は問いません。
  • 助成率は、中小企業で5分の4,大企業で3分の2に拡大。解雇などを行わない場合、中小で10分の9、大企業で4分の3まで支援する。

新型コロナウイルス感染症にかかる雇用調整助成金の特例措置の拡大 

https://www.mhlw.go.jp/content/11603000/000614800.pdf

 

併せてこちらもご覧ください。
「新型コロナ感染症について」の項に詳細が載っています。

雇用調整助成金

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

 

小学校等休業支援金の詳細など

先に紹介した小学校等休業支援金や上記の雇用調整助成金の申請書式なども厚労省のWEBサイトでダウンロードができます。下記を参照してください。

小学校等休業支援金  

 ※いちばん下の項に申請書式が掲載されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html

 

テレワーク助成金も使えます

これまであった「時間外労働等改善助成金(テレワークコース)」の助成対象に、新型コロナウイルス感染症も対象となりました。今回の事態を機にテレワークを導入した中小企業に、最高100万円の助成金が給付されます。

時間外労働等改善助成金(テレワークコース)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/syokubaisikitelework.html

 

以上、お役に立てば幸いです。

#新型コロナウイルス #雇用調整助成金 #テレワーク助成金

 

新型コロナウイルス感染症への対応 (3月18日)

子供の発熱のイラスト


厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症による「小学校休業等対応助成金・支援金」の申請受付を開始しました。


従業員に特別休暇(有給)を付与した事業主への助成金

 前回の記事でご紹介した新しい助成金の詳細が示され、申請受付も本日(3月18日)から始まりました。同助成金は、臨時休校中の小学校などに通う子どもの保護者などに対して、年次有給休暇以外の有給の休暇を取得させた事業主に支給するものです。対象労働者1人につき日額8,330円を上限に、支払った賃金相当額(10/10)を助成するものです。

<ポイント>

(1)対象者 下記のいずれかの保護者である者
 ①新型コロナウイルス感染予防のため臨時休校した小学校等に通う子ども
 ②新型コロナウイルスに感染した又は感染した恐れのある、小学校等に通う子ども

(2)対象となる有給の休暇の範囲
 ・上記(1)①の場合、学校の元々の休日以外の日(春休みや日曜日などは除外)
 ・上記(2)②の場合、学校の春休みなどにかかわらず、2月27日〜3月31日の期間

(3)半日単位年休、時間単位年休
 ・対象となります。

(4)就業規則等への規定の有無
 ・規定されていなくても、要件を満たしていればOK

(5)労働者に支払う賃金の額

 ・年次有給休暇を取得した場合に支払う賃金の額を支払うこと。

  =100%支給  
  ※60%、80%支給は助成対象となりません。

 

助成金ホームページ〉
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html

 

就業できなかったフリーランスなどへは支援金

 同支援金は、保護者のうち、業務委託契約などに基づき個人で働く人が対象になります。就業できなかった日について、1日当たり定額4,100円が支給されます。

<ポイント>

(1)対象者 下記のいずれかの保護者である者
 ①新型コロナウイルス感染予防のため臨時休校した小学校等に通う子ども
 ②新型コロナウイルスに感染した又は感染した恐れのある、小学校等に通う子ども

(2)小学校臨時休業の前に学校等と業務委託契約を締結していること

 

(3)小学校臨時休業期間において、子どもの世話を行うため、業務委託契約等に

  より予定された日時にの業務を行うことができなくなったこ

  ①小学校等がもともと休校が予定されていた日(春休み等)は対象外

  ②ただし、(1)②の場合はもともと休校日であっても対象

 

〈支援金ホームページ〉
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10231.html

 

申請期間は、助成金・支援金とも  3月18日~6月30日

 申請先は学校等休業助成金・支援金受付センター。

 問い合わせ先は、学校等休業助成金・支援金等相談コールセンター

  電話0120-60-3999

  受付時間は午前9~午後9時(土日・祝日含む)。

 

以上、参考にしてください。

 

#新型コロナウイルス感染予防対策 #新型コロナ対策助成金 #小学校臨時休業助成金・支援金

 

 

新型コロナウイルス感染症への対応 (3月4日)

 

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新型コロナウィルスの感染拡大が止まりません。全世界で8万人、日本で1000人以上が感染し、死者も3000人を超えています(日本12人)。(3月3日現在)

 

日本では、厚生労働省の新型ウイルス感染症対策専門家会議が、「感染の拡大のスピードを抑制することは可能だと考えられます。そのためには、これから1-2週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際となります」と、現時点での対応の重要性を強調し、政府や国民に対策を呼びかけています。(2月24日)

 

こうした中で2月27日、安倍首相は全国の小中高校や支援学校の一斉休業を要請しました。この突然の要請で、各自治体や保護者の間で混乱が起こっています。自治体では学校の開放など、子どもの居場所や体制の確保に奔走しています。

子どもの予定外の休業のため、仕事を休まざるを得ない保護者もあり、企業もその対応に頭を悩ませている、というところも少なくありません。

これに関連した政府・厚生労働省からの発信について、情報提供いたします。

2月29日安倍首相記者会見の記事(朝日新聞デジタル

https://www.asahi.com/articles/ASN2Y7GKRN2YUTFK008.html?iref=pc_ss_date 

 

■小学校の休業に伴い休んだ従業員に特別休暇を与えた企業向けに新助成金

 厚生労働省は、3月2日に「新型コロナウイルス感染症に係る小学校等の臨時休業等に伴う保護者の休暇取得支援(新たな助成金制度)について」と題した記者発表を行い、仕事を休んだ職員に対し特別休暇を与えた企業に新たな助成金を出すことを決定しました。

日経電子版 3月2日

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56261080S0A300C2EA2000/

 

 

 厚生労働省は、手続きなど詳細はこれからですが、判断を急ぐ事項なので、概要をウェブサイトで公開しています。


新たな助成金で企業支援
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09869.html


<事業所での取り扱い>

 保護者が休業した場合に、有給の特別休暇を付与した企業に対しての助成金ですが、正社員など給与日額が上限の8,330円をこす従業員に対して全額支給した場合は、差額は事業主が負担することになります。中小企業ではなかなか即決判断しにくいのも事実ですね。具体的な申し出に対して、従業員や労働組合とよく話し合った上で、実施の判断をした方が良いでしょう。

 

■感染予防のためテレワークを導入する中小企業への助成金

 中小企業が、従業員の通勤途上での感染などを防ぐため、テレワークを導入や休暇取得促進などの環境整備をする場合に、「時間外労働等改善助成金」の新型コロナウイルス感染防止の特例が適用になります。

 テレワーク導入 1企業あたり上限100万円

 職場環境整備  1企業あたり上限 50万円

 

時間外労働等改善助成金の特例

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09904.html

 


■事業への影響で臨時休業等し雇用の調整を行なった企業への助成金

 新型コロナウイルス感染症により、事業に大きな影響が出て売り上げの減少や生産量の減少などを余儀なくされた事業主が、一時的休業などを行い従業員の雇用の維持を行なった場合に「雇用調整助成金」の特例が活用できます。

 

雇用調整助成金の特例

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

 

■新型コロナウィルスへ感染の疑いがある労働者への対応など

 厚生労働省のウェブサイトでは、企業向けQ&Aで感染ん対策や休業手当の支給に関する基準などを示しています。

いくつか、その要旨を紹介します。

 

<感染した方を休業させる場合>
Q:労働者が新型コロナウイルス感染したため休業させる場合、休業手当はどのようにすべきですか。

A:休業手当を支払う必要はありません。

 都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。
  なお、被用者保険に加入されている方であれば、要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。
  具体的には、療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2について、傷病手当金により補償されます。

<感染が疑われる方を休業させる場合>
Q:新型コロナウイルスへの感染が疑われる方について、休業手当の支払いは必要ですか。

A:休業手当の支払いが必要です。

 感染が確定しない段階で、職務の継続が可能である方について、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。

<発熱などがある方の自主休業>
Q: 労働者が発熱などの症状があるため自主的に休んでいます。休業手当の支払いは必要ですか。

A:休業手当の支払いは必要ありません。

 新型コロナウイルスかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休まれる場合は、通常の病欠と同様に取り扱っていただき、病気休暇制度を活用することなどが考えられます。


厚生労働省 「企業向けQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
  
労働者向けのQ&Aは、こちら

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html

 

一人ひとりが感染予防に努め、拡大に歯止めをかけましょう。同時に、企業経営に出る影響を抑えるために、助成金も有効に活用しましょう。

家庭内で実施したい感染予防
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601721.pdf

 

以上

 
#新型コロナウイルス #新型コロナ助成金 #小学校等休業支援

これって、パワハラ? -Part 3-

パワハラを受ける人のイラスト(男性)

 Part1、Part2でパワーハラスメント(以下、パワハラと言います)の要件やパワハラにならない業務上の指導について解説してきました。今回は、どのような行為がパワハラになるのか、具体的に見ていきます。

 

 パワハラ6つの行為類型

 具体的な行為として、次の6つの類型(パターン)があるとされています。

      (厚生労働省「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会報告書」平成30年3月)

  1. 暴行・傷害(身体的な攻撃
  2. 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃
  3. 隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し
  4. 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求
  5. 業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求
  6. 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害

 

一つずつ見ていきましょう。

 

身体的な攻撃

 暴行・傷害は、立派な犯罪です。(刑法208条、204条)

職場内で、こうした身体的な攻撃は絶対に起こしてはいけません。

 ただし、業務上の指導中に激昂して暴れ出した従業員を制止するために腕を掴んだなどの場合には、違法とならないケースもあります。

 

精神的な攻撃

 脅迫はもちろんですが、名誉毀損・侮辱も犯罪となる場合があります。(刑法)

 言葉による暴力・精神的な攻撃は、職場内で起こりやすく、ハラスメントだと認識されずに横行している場合もあります。どのような言動がパワハラ・違法行為となるのか、過去の裁判事例からみてみましょう。

<違法となる例>

  • 部下を叱責する際に、「バカやろう」「給料泥棒」などと言う。また、配偶者や親を引き合いに出して「こんなに仕事ができないのは親のせいだ」「よくこんなやつと結婚したな」などと言う。
  • 作業の指示に従わなかった派遣社員に対して、「殺すぞ」と発言した。
  • 部下を叱責する際に「そんなことくらいアホでも小学生でもわかるやろ」などと言う。
  • 職場に「この者とは一緒に勤務したくありません!/○○課一同」と書かれた被害者の顔写真付きポスターを掲示した。

<違法とならない例>

  • 遅刻や服装の乱れなど社会的ルールやマナーを欠いた従業員に対し、再三注意しても改善されないため、強く注意した。
  • 上司が部下に対して強く叱責したが、その部下が反発するばかりで自らの行いや態度を改めようとしなかった一連の経緯から、違法とまでは言えない。

 ※部下の指導では、部下の態度・対応によっては繰り返し指導する必要があり、その状況により判断が分かれます。

 

 

人間関係からの切り離し

 人間は一人では生きていけない社会的な動物です。自ら望まない限り、「村八分」など他の人たちから切り離されるのは辛いですよね。それが1日のうち多くの時間を過ごす職場で行われたとすると、精神的苦痛を感じるのではないでしょうか?

 職場における人間関係の切り離しの例としては以下のようなことが挙げられます。

  • あいさつをしても無視され、会話もしてくれなくなった
  • 私の仕事を手伝わないと、他の社員と申し合わせがされた
  • 忘年会の案内が、私にだけこない。社員旅行参加を拒否された。
  • 社内の回覧物を回してくれない、情報共有されない
  • 転勤を断ったところ、仕事を与えず、「隔離部屋」に移された

 この人間関係の切り離しは、上司から部下という関係だけでなく、社内いじめなど同僚間でも起こり得るので、注意が必要です。また、社会的に問題となった大手メーカーなどの「追い出し部屋」など、組織的に行われる場合もあります。

 

 

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過大な要求

 ある時、とても一人では処理できないような業務をいきなり任されたら、途方にくれてしまいますよね。それでも業務命令なら取り組まないわけにはいかない。しかし、どうも“私だけ”に命令されているようだ… 。それは、パワハラと言えるかもしれません。

  • 終業間近に大量の書類を渡され、「明朝の会議に間に合うよう報告書を作成しろ」と業務命令を出され、深夜まで残業して処理に当たった
  • 休日出勤しても処理できないような大量の業務を命じられた
  • 不必要と思える細かいデータ分析資料を作るよう指示され、長時間作業を強いられた
  • とても一人ではできないような企画・提案づくりを強要され、土日返上で数週間働き続けた
  • 合理的な理由もないのに、提案書を何度も書き直させられ、最終的には廃棄された

 

 業務量が増え長時間労働を強いられると、ハラスメントというだけでなく、メンタル不調の原因ともなります。本来、業務量の調整と人員体制確保は企業側の責任で行うべきものです。やむを得ず集中して業務処理を行わざるを得なかったとしても、従業員の健康に十分配慮した上で、より適正に業務を配分して行う必要があります。メンタル不調などを起こした場合、企業に対して「安全配慮義務」違反を問われる場合もあります。企業としては、こうした現場の状況を把握しておくことも重要です。

 

過小な要求

 働く人にとって仕事のやりがい・充実感を感じるのは、自身の特性と能力を活かした仕事ができ、成果をあげることができた時ではないでしょうか。経験や能力を活かすことができない、軽微な仕事しか与えない、仕事を奪う行為は、その人の誇りを傷つけ、人格権を否定するものです。

  • 看護師としての仕事を与えず、事務仕事を時折与えるだけだった
  • 本人に問題がないのに営業から倉庫へ配置転換し、降格させ賃金を2分の1とした
  • 退職勧奨に応じなかった技術開発部長を現場の作業員に配転した

 

個の侵害

 職場では、個人的な交流やある程度家庭の事情を知ってもらうことも必要になってきます。お互いの信頼関係を超えて、必要以上にプライバシーに踏み込まれたり、侵害されたりする行為はパワハラとなります。

  • 年休を取ろうとしたら、上司から取得の目的をこと細かく質問され、認めてもらえなかった
  • 同僚から、休日の予定を執拗に訊かれ、ロッカーやバッグの中を覗かれた
  • 異性との交際について、上司から「あいつは危険人物だ」と誹謗中傷された

 

勉強会のイラスト

 こうした行為の中には、本人がパワハラだと認識せず行っているものもあります。業務上の指導や職場内の人間関係がうまくいくためには、自身の言動が「相手にはどう受け止められているか」と振り返ってみることも必要です。

また、企業としてはハラスメントに関する啓発を繰り返し行っていくことが求められます。

end

 #これって、パワハラ?  #パワハラ防止  #ハラスメントのない職場  #パワハラ6類型

これって、パワハラ?  -Part 2-

 

 

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「こらっ! 何やってんだ、バカ! ここからすぐ出ろ!」

「えっ!? あ、すみません」

 

 製造係の鈴木主任に用があって工場にやってきた総務課の田中さんに対して、工場長の佐藤さんは、顔を真っ赤にして怒鳴りました。びっくりした田中さんは、慌てて工場から出て行きました。

 

さて、これはパワハラでしょうか?

「こら!」とか、「バカ」とか言っちゃっていますし、かなりの剣幕で怒鳴ったみたいなので、パワハラなのでしょうね…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

答えは、ノー。パワハラではありません。

 事情を詳しく見てみましょう。

 この会社は、機械部品を製造する、従業員100名ほどの小規模企業です。会社の本部機能(営業や管理部門)と工場が一つの事業所にある大きめの町工場といった感じでしょうか。

 しかし、技術力で勝負するこの会社が手がける製品は、スマートホンなどに使われる小さくて精密なものが多く、工場内の整理整頓、クリーンな環境維持が必須です。そのため、工場内での服装や入場の手順を厳しく定めています。また、製造ラインの一部にはロボットも導入されていて、不用意に近づくとアームと接触する危険もあります

 会社に入ってまだ日が浅い田中さんは、そんな厳格なルールを知らずに、鈴木主任にタイムカードの集計のことを訊ねるために、不用意に工場内に入ってしまったのです

それを目撃した佐藤工場長は、製品の保全と安全管理のため、急いで退出するよう注意したのです。もちろん、落ち着いて丁寧に説明した方がベストですが、製品の品質や安全に関わることなので、思わず怒鳴ってしまった、というわけです。

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工場に入るには決められた服装で!

 

パワハラ要件「業務上の必要な範囲を超える」とは

守るべきルールや安全確保のため指導が必要

 このようなケースは、パワハラの要件である「業務上必要かつ相当な範囲を越え」たとは言えず、業務上の指示・指導の範囲であると言えます。例えば、遅刻が何回か続いている社員が遅れて職場に入ってきた時に、他の社員の前で注意し、反省を促すといったこともパワハラとはならないでしょう。

※もちろん、同じシチュエーションでも暴力を伴なうものは許されず、パワハラとなります。

 

人格否定はパワハラ

 逆に、指導に当たって「お前は係長だろ。係長らしい仕事をしろよ」「お前は覚えが悪いな」「バカかお前は! 係長失格だ」と言うように、その人の地位そのものや能力・人間性を否定するような言葉・態度で臨むのは、パワハラといえます。

 

 海上自衛官パワハラ事件に関する判例では、違法(パワハラを認定)の理由として、次のような点を挙げています。

①緊急を要しない場面で繰り返し厳しい発言をした

②個々の行為や技能について指摘するにとどまらず地位や人格に言及した

③指導の後に心情を和らげるような措置もとっていない

福岡高裁平成20年8月25日判決)

 

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感情に任せて怒らない

 

 

罪を憎んで人を憎まず

 「罪」を部下のミス・行為と置き換えてみてください。仕事に関わる失敗や技能の程度について、個々に指摘・指導することは、パワハラにはなりません。注意の対象が、「人」〜その人そのもの、人格〜ではなく、「行為」であれば、適切な指導の範囲となります。行為を改めることはできますが、人格・性格や持って生まれたものは直す事ができないことですし、そのような資質は仕事上指導されるものではありません。

 部下の立場から見たら、感情的に怒鳴り続けられ、人格を否定されるような指導を受けたら、モチベーションは上がりませんし、上司への憎しみこそ増すものの信頼度は落ちることは容易に想像できます。

 

業務上必要かつ相当な範囲を越えた言動とは

 前回のブログでも紹介しましたが、「業務上の必要」について、厚生労働省の「平成30年度・職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会報告書」では、「社会通念に照らし、当該行為が明らかに業務上の必要性のない又はその態様が相当でないものであること」としています。この要素に当てはまる主な例として、次のような行為が考えられるとしています。

  • 業務上明らかに必要性のない行為
  • 業務の目的を大きく逸脱した行為
  • 業務を遂行するための手段として不適当な行為
  • 当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える行為

   リーダーには、上記の要件に当てはまらないような指導に対する考え方や行為が求められます。

 

業務上の指導は適切に実施すべし

 「こんなことをしたら、こんなことを言ったら、パワハラと訴えられるのか?」と部下への指導を躊躇してしまう管理職も少なくないのではないでしょうか。しかし、実際の仕事では、事業目的・目標を達成するために、部下を指導しリードしていかないと動かないことはいくらでもあります。その時に、指導を放棄してしまったら、事業はストップしてしまい、業績悪化や人が育たない職場になってしまいます。

要は、タイミング良く、適切な指導をすることがリーダーには求められています。

 

では、どんなことに留意をしていけばよいのでしょうか。

 

業務上指導の留意点

 あらためて、業務上指導をする上での留意点をまとめてみました。

1、行動を起こす前に「ひと呼吸」

 ①感情的に注意・指導をしない

  ・感情のままの言動や、人格否定など不要な事を言ってしまう

  ・注意を受ける方も、感情をぶつけられると素直に受け止められない

  ・怒りやすい人は、アンガーマネジメントで自分をコントロールする

 ②注意指導すべき問題点は何か、事実を確認し分析する

  ・注意指導の目的とゴールイメージを持って臨む

  ・具体的な問題点や指導すべき行為を明確にしておく

2、対等な話し合いの場をつくる

 ①指導の基本は1対1、別室で行う

 ②一方的に「あなたが悪い」と決めつけない

  ・事実を確認する

  ・相手の言い分を聴き、受け止めた上で問題点を指摘する

 ③厳しい叱責・指導の後には精神的なフォローをする

  ・指導の後には、暖かい笑顔で激励も

  ・実際にフォローアップの手をうつ

 ④日頃からコミュニケーションをとることが大切

3、言葉を尽くして伝える

 ①「罪を憎んで、人を憎まず」のスタンスで。(人格攻撃は厳禁)

 ②暴力は論外 →即、犯罪です!

4、対応の難しい部下の問題を一人で抱え込まない

 ①長時間・複数回にわたり、同じ事を繰り返し指導するということは避ける

 ②何度指導しても改善が見られない場合は、1対1でなく、第三者(上司など)にも関わってもらって対応していく

5、相手の事を思う

 ①相手を自分の家族など大切な人に置きかえて考えてみる

 ②部下の成長を長い目で見る、自身の関わり方を再度考えてみる

 

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ハラスメントのない元気な職場を!

 あなたは、現在、部下への指導をどのように行なっていますか?

ハラスメントのない適切な指導は、部下のモチベーションをアップさせ、能力を引き出し、結果として職場の目標達成につながります。

 上記を参考にしていただければ幸いです。

 

end

 #これって、パワハラ? #パワハラ防止 #ハラスメントのない職場づくり #部下指導のあり方 #ハラスメントをなくそう


これって、パワハラ?   Part 1

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 前回のブログでパワーハラスメントパワハラ)について法制化され、事業主に防止や相談体制整備が義務化されたことをお伝えしました。では、パワハラって、どういう行為を言うのでしょうか? 今回は、その定義について解説します。

 

パワハラの定義

 今年5月に成立した、改正労働政策総合推進法でパワハラの定義を下記のように定めました。

 ①優越的な関係に基づく

 ②業務上必要かつ相当な範囲を越えた言動により

 ③労働者の就業環境を害すること

 

 それぞれの内容を見てみましょう。

 

優越的な関係

 <上司→部下>

  • 職場における優越的な関係といえば、部下に対する上司が典型的な優越的関係と言えます。特に、人事権を持っている上司は、部下にとっては絶大な力をもった存在と言えます。また、直属の上司でなくても、会社の重要なポストにいる者と社員との関係も優越的関係になります。

 <先輩→部下>

  • 社内では、同じような立場にいたとしても、入社したばかりの社員にとって、ベテラン社員は仕事の能力や人脈など実力差を感じる存在で、優越的な関係と言えます。その先輩としての力を背景にした嫌がらせなどもパワーハラスメントとなります。
  • これは、正社員だけでなく、パート社員同士の関係などでも起こりえます。

<正社員→非正規社員

  • 雇用形態によるパワーの差は、職場では歴然としたものがありますね。任されている職務の違いやそれに伴う権限の違いも大きいでしょう。たとえ新入社員であっても、非正規社員派遣社員にたいして業務上の指示・命令をする、ということもあります。明らかに優越的関係といえるでしょう。

<同僚→同僚>

  • 職場における役割は変わらず、社歴もそれほど違わない同僚同士であったとしても、グループを作り職場内いじめを行う、といったケースが考えられます。職場という組織にあって、実質的なパワーを誰がもっているのか、という点が優越的関係を左右します。

<部下→上司>

  • 例えば新任の店長さんが赴任してきて、そのお店の改革を進めようと試みた時に、担当者が新任の上司が気に入らないとして、集団として抵抗または拒絶するといったケース考えられます。このように部下である担当者が、業務上必要な知識や豊富な経験を有している場合も優越的な関係にあたります。

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業務上必要かつ相当な範囲を越えた言動

 業務上の必要について、厚生労働省の「平成30年度・職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会報告書」(以下、「検討会報告書」)では、「社会通念に照らし、当該行為が明らかに業務上の必要性のない又はその態様が相当でないものであること」としています。この要素に当てはまる主な例として、次のような行為が考えられるとしています。

  • 業務上明らかに必要性のない行為
  • 業務の目的を大きく逸脱した行為
  • 業務を遂行するための手段として不適当な行為
  • 当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える行為

 「業務上の必要」については、職務の内容、業務の危険度、対象となる労働者の熟練度など職場のシチュエーションによって異なってきますので、その都度判断していく必要があります。

 また、個人の受け取り方よっては指示・命令等に不満を感じることがあったとしても、それらが業務上適正な範囲で行われている場合にはパワハラには該当しません。

 

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業務上必要な指導はOK

 

労働者の就業環境を害すること〜どんな行為がパワハラになる?

 パワハラは、行為を受けた者が身体的もしくは精神的に圧力を加えられ負担と感じること、または行為を受けた者の職場環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど、労働者の就業上看過できない支障が生じる行為を言います。(検討会報告書より)

 また、判断に当たっては「平均的な労働者の感じ方」を基準にするとしています。この点は、行為を受けた労働者の主観を基準とするセクシュアルハラスメントとは異なります。

 ただし、今回の法改正に当たっての参議院付帯決議(第9項1)では、「パワーハラスメントの判断に際しては、『平均的な労働者の感じ方』を基準としつつ、『労働者の主観』にも配慮すること」としています。今後厚生労働省が作成する「ガイドライン」にどのように反映されるのか、注目されます。業務上適切な範囲で行なった指導に対して、「俺は不満だ」とパワハラを主張するという者が増えるのではないかと懸念されます。

 

パワハラのパターン(行為類型)

 では、具体的にはどのような行為がパワハラに当たるのか、検討会報告書では下記のように6つの行為類型を整理しています。(詳細は、次回に解説します)

  1. 暴行・傷害〜身体的な攻撃 
  2. 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言〜精神的な攻撃
  3. 隔離・仲間外し・無視〜人間関係からの切り離し
  4. 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害〜過大な要求
  5. 業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと〜過少な要求
  6. 私的なことに過度に立ち入ること〜個の侵害

 

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風通しのよい職場を!

 パワハラを未然に防ぐことが大事

 職場の中で発生した行為がパワハラに該当するのかどうかは、3つの側面から個々の状況を具体的に検討して判断していくことが求められます。企業経営者や職場を預かるマネージャーは、基本的な知識としてもって、対策を講じてパワハラを未然に防ぐことが求められます。

次回、6つの行為類型について、判例などを紹介しながら解説していきます。

 

<参考>

厚生労働省「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」報告書
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000201255.html

 

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職場におけるパワーハラスメント その傾向と対策

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労働相談 トップはパワハラ 過去最高の8万3千件

 厚生労働省は6月26日、2018年度の総合労働相談の結果を公表しました。それによると2018年度の総合労働相談のうち個別労働紛争にかかわるものが266,535件、このうちパワハラなど「いじめいやがらせに関する相談」が82,797件とトップでした。(構成比31.0%) 昨年より14.9%増加し、過去最高の件数となりました。

いったい何が職場で起こっているのでしょうか?!

 ハラスメントに対する認識が広まり相談しやすくなった、ということも言えますが、人手不足が深刻化する中で労働現場でのコミュニケーション不足やストレスも大きくなっているのかもしれません。

 こうした社会的な変化の中、ハラスメントをなくし労働環境を整えていくことが企業に求められています。事業主のパワーハラスメント防止措置の義務化する法改正がありました。

 

報道

www.asahi.com

厚労省の発表 ↓

 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000213219_00001.html 

 

パワーハラスメント防止、事業主に義務化

 事業主に職場のパワーハラスメント防止対策を義務化した改正労働政策総合推進法等の法案が、5月に成立しました。職場におけるパワーハラスメント(以下、パワハラと言います)は社会問題化していますが、これまで法律上明確な定めがありませんでしたが、明文化されたことになります。今回の法改正で、パワハラ紛争を都道府県労働局長による解決援助と紛争調整委員会による調停対象とすることも決まりました。

 

報道

www.asahi.com

パワハラって? 

 パワハラの定義として、①優越的な関係に基づく、②業務上必要かつ相当な範囲を越えた言動により、③労働者の就業環境を害すること(身体的もしくは精神的な苦痛を与えること)――の3要件を含むものとしました。

 ここで言う「優越的な関係」とは、

必ずしも<上司→部下>でないことが重要なポイントで、

<先輩→後輩>や<部下→上司>と言う場合もあります。

職場で、実質的にパワーを持っている人が、そのパワーを不適切に使用した場合ということが言えます。

 また、「業務上必要かつ相当」というのが、だれもが業務上必要な指導の範囲だ、と認めうるのか、それを逸脱したものなのかと言う点も、パワハラか否かの争点となります。業務上指導のあり方の基準を作り、管理職への教育、意識改革をするめていくことも企業に求められる事項と言えます。

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同僚同士のハラスメントもNG

事業主に求められること

 事業主に義務化するパワハラ防止対策の内容は、今後、厚生労働省が作成する「指針」で示すことになります。具体的には、事業主方針の明確化、相談体制の整備、紛争の事後対応、プライバシー保護などが中心となると思われます。

また、昨今問題となっている、カスタマーハラスメントや就活生に対するセクシュアルハラスメントも対象とすると言われています。参議院の附帯決議でも「従業員等に対する悪質クレーム等により就業環境が害される事案が多く発生していることに鑑み、…その防止に向けた必要な措置を講ずる」と政府に対応を求めています。

 

セクハラ防止対策も強化

 一方、セクハラ防止対策の強化(男女雇用機会均等法改正など)では、①国、事業主および労働者の責務の明確化、②労働者が事業主にセクハラ相談をしたことなどを理由とする事業主による不利益取扱い禁止――を追加して規定しました。

 同じく近年、社会問題化している就活生に対するセクハラ防止に向けても何らかの対応策を示す予定です。就活生は労働者ではないのですが、「求職者」と位置付ければ防止対象に含めることができるという考えです。

 

ILO、ハラスメント防止の国際条約案を可決

 職場におけるハラスメントは日本だけでなく世界でも問題となっています。国際労働機関(ILO)は、先の総会で職場でのハラスメントや暴力を全面的に禁止する国際条約を可決しました。日本政府のこの条約批准への態度はまだ定まっていませんが、批准すれば国内法制の整備が求められます。いずれにしても「ハラスメントのない職場をつくる」ため、政府や事業主の努力が求められることは国際的な流れとなっていきます。折から、外国人雇用に関する法改正(2019年4月施行)された日本においては、受け入れる外国人も安心して働ける労働環境づくりの一つとして、ハラスメント防止対策の推進が求められます。

 報道

www3.nhk.or.jp

 

経営理念としてもハラスメント対策に本腰を!

 このように、企業のハラスメント対策は、企業としての基本方針を定め、体制を整えて、管理職をはじめ全社員の意識改革を進めながら、ことが起こったときに揺るがず原則どおりに対応し、「ハラスメント、NO!」を徹底できるかどうかが重要です。今一度、「わが社の現状」を分析し、経営理念としてハラスメント防止(「=働きやすく従業員のモチベーションの高い企業づくり)を位置づけ、必要な方針・ビジョンと対応策づくりを進めていくことが肝要です。

 

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