「四方よし」のお手伝い

社長さんと社員さんが共にWinWinの関係となる。近江商人の「三方よし」(売り手よし、買い手よし、世間よし)と重ね、「四方よし」の関係づくりのお手伝いをしたいと考えています。このブログが何かの参考になれば幸いです。なお、記事の法令等に関わる記述は、執筆当時に施行または施行予定だった内容で、その後の改正に対応してない場合がありますのでご了承ください。

つい目をそむけたくなる。  「未来の年表」

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この本は、読まないほうがよいかもしれない……

しかし、知っておかなければならないことが書かれている。

 

「未来の年表ー人口減少に本でこれから起きること」

          (河合雅司著、講談社現代新書2017年)

  著者は大正大学客員教授で専門は人口政策、社会保障政策。内閣官房有識者会議委員や厚労省農水省など政府委員を務めた経験があります。この本は、その専門の立場から、日本の未来について書かれています。2015年国勢調査結果や国立社会保障・人口問題研究所(社人研)のデータをもとに、「人口減少カレンダー」として詳しく解説しています。2017年から2050年までの毎年、そして2065年以降、年ごとに起きる社会的な問題が次々とカレンダーに表れてきます。

例えば

2023年 企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる」

「2024年 全国民の3人に1人が65歳以上の『超・高齢社会大国』へ」

2033年 全国の住宅の3戸1戸が空き家になる」

2039年 火葬場が不足」

こんな見出しが並びます。驚きますよね?

 

日本の人口は大幅に減少 国が存立できなくなる?

 日本の人口は2011年から減少局面に入ったと言われていましたが、2015年の国勢調査で実調査結果として確認されました。国政調査が始まって100年、初めて減少に転じたのです。また、2016年の年間出生数が初めて100万人を割りました。おそらく2017年も同様の傾向でしょう。社人研の「日本の将来人口推計」(2017年改訂版)によれば、1億2700万人だった人口は、100年待たずに5000万人ほどに減少してしまうと指摘しています。本書では「こんなに急激に人口が減るのは世界史においても類例がない。われわれは、長い歴史にあって極めて特異な時代をいきているのである」と表現しています。そして、どんどん減り続ける日本人口は、西暦3000年にはなんと2000人になっているというのです。これではもう国としてなりたちません。

 

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  (出典)総務省国勢調査」及び「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所   「日本の将来推計人口(平成24年1月推計):出生中位・死亡中位推計」(各年10月    1日現在人口)、厚生労働省「人口動態統計」

 

静かなる有事

 人口減少により、日本の喫緊の課題として1.出生数の減少 2.高齢者の激増 3.社会の支え手の不足 4.これらが互いに絡み合って起こる人口減少 を挙げています。このことで、国民生活に支障が出てくる。このことを著者は「静かなる有事」とよび、国を挙げた対策に必要性を訴えています。

 

最大の課題「2042年問題」

 様々な困難な課題が出てきますが、著者は、もっとも深刻な課題として「高齢者人口が4000万人とピークになる2042年問題」だと主張しています。政府は人口問題の危機として「団塊の世代がすべて75歳になる2025年問題」を挙げ、これに向けた対策を打とうとしています。なんと、あと7年後に迫っています。しかし、著者は「団塊ジュニア世代が全て高齢者になり、高齢者となる2042年では高齢者が3960万人とピークに達し、福祉課題など表面化します。さらに深刻なのは勤労世代の口が2025年より1250万人も減少するというのです。

いったい日本の社会はどうなってしまうのでしょうか? よぼよぼ日本はどこへ行こうとしているのでしょうか?

 

日本を救う処方箋

 こうした厳然たる事実に基づく推計を前に、今からできることは何か? この本では、政府の進める4つの選択肢(外国人労働者受け入れ、AI活用、女性活躍推進、高齢者活躍)を検証し、いずれも課題が多いと指摘しています。その上で、「日本を救う10の処方箋」を示しています。

【戦略的に縮む】

  ①「高齢者」を削減 ②24時間社会からの脱却 ③非住居エリアを明確化

  ④都道府県を飛び地合併 ⑤国際分業の徹底

【豊かさを維持する】

  ⑥「匠の技」を活用 ⑦国費学生制度で人材育成 

【脱・東京一極集中】

⑧中高年の地方移住推進 ⑨セカンド市民制度を創設

少子化対策

  ⑩第3子以降に1000万円給付

それなりに現実的な対策から、かなり大胆は発想まで含まれています。個別にはコメントしませんが、こうしたこれまでの少子高齢化対策の延長ではなく、データに基づく正しい推計(都合のよい解釈ではなくて……)を根拠に、各方面からの根本的な対策検討が求められていると思います。

bookclub.kodansha.co.jp

 

25年後、あなたは何歳ですか?

その時、どのように働き、どのように暮らしていますか?

そして、誰と誰を支えているでしょうか。

  若い人は若いなりに、高齢者は高齢者なりに、自分自身の暮らし方・働き方を考えて生きる。同時に、家族や社会の中で自分にできる「支え方」で関わっていく。政府の政策実施や社会全体の仕組みを変えていくことも大切です。一方で、国民どうしが支え合う協同社会の実現が求めらていると思います。