このリーディングは生き方を変える 〜Life Shit を読んでみよう
「わたし、この本に書いてあることはすでに実践しているわ。途中までだけど読んで見て、そのことが正しかったと思えたの。」
とあるリーディングセミナーでカラービジネスコンサルタントが仕事という女性Tさんは、自己紹介でそう言った。なんとも自信に満ちた態度で、圧倒されそうだ。
LIFE SHIT を読む
今回のセミナーで取り上げた本は、
「LIFE SHIFT-100年時代の人生戦略-」
(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著 池村千秋訳
/東洋経済新報社)
400ページにおよぶ専門書だ。
本を読むのは好きだが、遅読の私には、こうした本は苦手である。大概途中で嫌になって放り出すか、とてつもない時間をかけて読むので途中で内容を忘れてしまう。この本一冊読む時間があれば、池井戸潤の作品なら5冊は読めたのに、と後悔することになる。
それでも読んでみようと思ったのは、あちこちの書店に平積みされていて新聞の書評にも度々取り上げられたのを知っていたからだ。もう一つの理由は、来年60歳を迎えることで、第2の人生を意識し始めた、これから残された人生をどう生きたらよいか、などと珍しくまじめに考え始めてきたからだ。
そんな時、フェイスブックでこの本を取り上げたリーディングセミナーのイベント告知が流れてきた。
とあるリーディングセミナー
京町家の8畳ほどの和室に集まってきたのは、6人。キャリアカウンセラー、研修講師、カラービジネスコンサルタント、起業家、私、それにセミナーファシリテーター。テーブルの上には京銘菓や飴が置かれ、リラックスした雰囲気だ。女性が多かったこともあってワイワイと雑談から始まった、ゆるい感じ。
「まず本をざっと見て、目次や中の見出しを見て、中身に入り込むと時間がかかりますかね。ざっとでいいですよ」
えっ、本を読まないの? 眺めるだけ? それで大丈夫なの? とたくさんの疑問符が湧いてきた。このリーディング法は初めてという人ばかりだったので、皆ちょっと不思議そうな顔をしていたが、とにかくやってみた。分厚い本を開き、ペラペラしたり、覗き込んだり。
著者に質問を出す
「そして、この著者に質問を出しましょう。カード1枚に1問、3つの質問を考えてください」
「人生に戦略なんているんですか?」
これがキャリアカウンセラー・Iさんから著者への質問だった。
みんなの質問を紹介しあった後で、各自、その質問の答えとなるキィワードを本の中から探す。この時間がこのセミナーの中ではもっとも長い時間だったが、それでも30分もしない。しかし、皆集中して答え探しをしている。
「長生きするってことは、それだけお金も必要ですね、当たり前だけど。収入のことも考えなくては。なんとなく生きている訳に行かないですね。だから積極的な戦略が必要なんだと気づきました」とIさん。
「リ・クリエーション」という言葉
「人生100年時代というが、85歳まで働くとして、そこまで健康が維持できるのだろうか?」 これは私の問い。
このテーマで本をあちこち開いてみると、次のようなキィワードが出てきた。
健康である期間は長くなる
健康改善のイノベーションが起こる
バランスのとれた生活
脳は鍛えられる
そしてあちこちに出てくる次の言葉も関連するキィワードだと思う。
レクレーションではなく、リ・クリエーション(自己再生)
自己再生の友人関係
うーむ、「リ・クリエーション」か。なんだか心地よい言葉だ。
「この本に書かれていることを実践しています。男女の役割チェンジのことが書かれているけれど、わたしはすでに準備しているんです。夫には定年後は好きなことをしてもらう。これまで働きづめでしたいことができなかったのだから。わたしが稼ぐ、というつもりで準備してきて、起業しました。今、わたしは働くことが楽しくて仕方がない。LIFE SHIFT してますよ〜!」
Tさんは相変わらず明るく元気な感想を述べた。聞いていたみんなも元気をもらった。
雑談さえも学びの場に
セミナー後の雑談時間、ワイワイと和やかにいろんなお話をした。
実はこの雑談の時間もこのリーディングセミナーの貴重な要素なのだそうだ。一つの本をみんなで読んで、出されたキィワードや意見の違いを知ることによって、本の理解がさらに深まる。その読後感を持ってさらに雑談する中で、互いに持っている想いやリソースの交流をすることで満足感が高まるのだ。
「それでは、最後に今日のリーディングを受けて、明日から何を始めるのか、お一人ずつ発表してください」
手応えを感じたのか、ファシリテーターの表情も明るい。
私は、この本を最後まで読み通すこと、これからも自分への教育投資を継続すること、そして本を読む前に「問い」を立てることを決意表明した。
人生100年時代はもう始まっている
本当に密度の濃い3時間半で、「余生」への考えが前向きになった。
人生100年時代、この本から得た知識と今日の経験を我が身に生かそう、楽しもうと思った。そうなると、これからますます忙しい。ボケているヒマなんてなさそうだ。
本は対話するように読むのが良い。できればリーディング仲間とともに。
このリーディングは、人生を変えるかもしれない。
リンク
●リード・フォー・アクション
●LIFE SHIFT
https://store.toyokeizai.net/books/9784492533871/